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いにしえの交通路 [テーマ別紹介]

国府―その変遷を主にして(木下良);星4つ
長崎街道 (肥前佐賀路)(編集:図書出版のぶ工房);星3つ(佐賀の人なら4つ)
佐賀県の歴史散歩(旧版);星3つ

 地元佐賀県には、小倉から長崎までを結ぶ長崎街道が走っている。今は撤去されてしまったが、旧三田川町の目達原商店街の西南のはずれに、その道がかつての長崎街道であったことを記す立て看板があった。さらに長崎方面へ旧長崎街道を進むと、神埼高校よりもしばらく手前に長崎街道に唯一残る「ひのはしら一里塚」があった。「へえ」と思いはしたものの、そのときはただそれだけだった。
 深い興味を持ったのは、それから10年以上のち、『国府―その変遷を主にして』という本を大阪の古本屋で入手してから。細かい地図でみると、古代の官道や国府(つまり各分国の政庁とその町)の条里の痕跡を知ることができるという。住んだことのある山口市の近く、防府市に国府があったこと(「防府」という地名自体、周防国府を示している)や、そこを通る古代の官道も紹介され、強く興味を持った。その他いくつかの国府所在が、現代も残る道や区画から推定できるという。過去の痕跡への興味は以前からあったが、昔の交通路への関心を強く持たせてくれたのは、この本だろう。
 しかし古代の官道の大半は、ほとんど痕跡すら残っていないのかもしれない。一方、江戸時代の街道沿い、特に田舎なら、江戸時代をしのばせる風景が残っている。当時住んでいた関西の西国街道をめぐり、沿道の寺社にもなかなか興奮できたので、次はやはり地元佐賀をめぐりたい。ネット上で探しても長崎街道のルートは分からないままだったが、帰省の際にたまたま『長崎街道 (肥前佐賀路)』を見つけ、念願の長崎街道のルートを知った。自動車で福岡との県境・基山から塩田町の中心まで、何回かに分けて走った。田んぼばかりの風景だと、旧宿場が分かりやすい。突然、田舎には不自然にいくつかの店が並んでいるところ、特に庭は無く古い建物の壁が道沿いたっている所は、宿場と思って大体間違いがないようだ。大きな宿場に限らずちょっとした宿場(たとえば目達原や田手)近辺の説明文や小さな写真がある。
 『長崎街道』で、ひとつ気になる記載があった。佐賀の古代の官道はもともと山に近いところにあり、時代につれ、だんだん南に下っていっているという。大和町の肥前国庁跡とその東に続く道沿い(県道48号線やその近隣)に、妙に古い町並みが残る。ひょっとすると、それが官道だったのだろうか。尼寺跡と国分寺跡は『佐賀県の歴史散歩』(ただし旧版。新版の内容は未見。)で見つけることができた。寺らしさといえば国分寺跡に墓が多く立っていたぐらいだが、よく地名は古くから変わらないと言うように、尼寺、国分などの地名がはっきり残っている。また印鑰神社は残り、国庁の機能が神社という形で残っていた。
 1000年にわたり残そうという意思もないのに残る余韻。不思議な感じがすると同時に、それを知ることができる偶然が喜ばしかった。
国府―その変遷を主にして (教育社歴史新書―日本史)

国府―その変遷を主にして (教育社歴史新書―日本史)

  • 作者: 木下 良
  • 出版社/メーカー: 教育社
  • 発売日: 1988/06
  • メディア: ペーパーバック



長崎街道 (肥前佐賀路) (九州文化図録撰書 (2))

長崎街道 (肥前佐賀路) (九州文化図録撰書 (2))

  • 作者: 図書出版のぶ工房
  • 出版社/メーカー: 図書出版のぶ工房
  • 発売日: 2001/10
  • メディア: 大型本



佐賀県の歴史散歩 (新全国歴史散歩シリーズ)

佐賀県の歴史散歩 (新全国歴史散歩シリーズ)

  • 作者: 佐賀県の歴史散歩編集委員会
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 新書





タグ:日本史
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