刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活(阿部謹也) [本の紹介★★★★]
刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))
- 作者: 阿部 謹也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1978/01
- メディア: 新書
日本の少なくとも近世では、刑に携わるものは賎視され、あるいは賎視される身分の者、つまり非人が刑に携わった。これは、日本の「穢れ」思想によるもの、特異なものという思い込みがあった。
しかしどうやら、どこに住んでいても人間としての根っこのところは似たようなものらしい。ヨーロッパにおいては、不当な行為に対する集団や個人の復讐からはじまり、やがて名誉ある行為としての刑の執行がおこり、ついに刑の従事者は差別される人間となったという。
一致するのは刑吏の身分が賎民とされたことだけではない。面白いことに、動物の死骸の処理や、皮革に関する権利は彼らのものされた。死というものが結びつくのだろうか。
刑の内容のほか、中世ヨーロッパにおける刑吏をとりまく事情が具体的に描かれ、当時の社会観や彼らの生活を想像できるだろう。
タグ:世界史
2009-11-05 23:17
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0