象形文字入門(加藤一朗) [本の紹介★★★★]
謹賀新年。今年こそは当ブログにお越しいただける皆様および私にとって、良い年になりますように。
さて、今年の一発目、正月休みの間に読んだ一冊です。
絵から象形文字への流れ、具体的にはヒエログラフの誕生、そしてヒエログラフを遠い先祖とするアルファベットの発明へという流れを説く。半分以上がヒエログラフと、それによって記されている古代エジプトの物語や世界観の話と思って良いでしょう。
文字の誕生や進化を焦点とするか、あるいはエジプトの史実や伝説を焦点とするか、ぶれがあるために中途半端な感じがします。ただ、それぞれの話は面白く、一気に読ませる魅力があります。
ヒエログラフ―アルファベットのながれの他に、序論としてはインディアンの絵、最後の付け足しのように漢字の話もあります。後者は浅く物足りなく感じる人が多いでしょうが、前者に関しては初めて読む話であり、興味深いものでした。
私は古本で買いました。新品は品切れのようですが、中古はアマゾンでもたくさん出品されているようです。
さて、今年の一発目、正月休みの間に読んだ一冊です。
絵から象形文字への流れ、具体的にはヒエログラフの誕生、そしてヒエログラフを遠い先祖とするアルファベットの発明へという流れを説く。半分以上がヒエログラフと、それによって記されている古代エジプトの物語や世界観の話と思って良いでしょう。
文字の誕生や進化を焦点とするか、あるいはエジプトの史実や伝説を焦点とするか、ぶれがあるために中途半端な感じがします。ただ、それぞれの話は面白く、一気に読ませる魅力があります。
ヒエログラフ―アルファベットのながれの他に、序論としてはインディアンの絵、最後の付け足しのように漢字の話もあります。後者は浅く物足りなく感じる人が多いでしょうが、前者に関しては初めて読む話であり、興味深いものでした。
私は古本で買いました。新品は品切れのようですが、中古はアマゾンでもたくさん出品されているようです。
洞穴学ことはじめ(吉井 良三) [本の紹介★★★★]
先週末より風邪です。本の整理も結局やっていません…。
さて。
たまたま無料で手に入る機会があったからもらっておいた本。タイトルからは興味を持つこともなく、洞穴の形成か何かがテーマと思い込み数年以上開いてもいませんでしたが、何と無く見ると内容は生物学。
ざっと7割が生物学、そのうち8割がトビムシの話。生物以外の残り3割は洞穴探検等のお話し。初版の発売は1968年であるからかなり前の話ですが、国内では未開拓だった洞穴探検と、洞穴の研究、その具体的テーマとして洞穴の生物学を研究する、生物学者の著者。
生物学の研究はまず記載から始まる。簡単だからではなく、まず生物名を確定することで、研究材料として特異的に取り扱うためだ。そして研究は進み、洞穴に固有のトビムシを発見する。そしてその分布から、日本列島形成との関連へと、連想は進む。
人間の活動の気配も色濃く感じる、良書。
さて。
たまたま無料で手に入る機会があったからもらっておいた本。タイトルからは興味を持つこともなく、洞穴の形成か何かがテーマと思い込み数年以上開いてもいませんでしたが、何と無く見ると内容は生物学。
ざっと7割が生物学、そのうち8割がトビムシの話。生物以外の残り3割は洞穴探検等のお話し。初版の発売は1968年であるからかなり前の話ですが、国内では未開拓だった洞穴探検と、洞穴の研究、その具体的テーマとして洞穴の生物学を研究する、生物学者の著者。
生物学の研究はまず記載から始まる。簡単だからではなく、まず生物名を確定することで、研究材料として特異的に取り扱うためだ。そして研究は進み、洞穴に固有のトビムシを発見する。そしてその分布から、日本列島形成との関連へと、連想は進む。
人間の活動の気配も色濃く感じる、良書。
刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活(阿部謹也) [本の紹介★★★★]
刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))
- 作者: 阿部 謹也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1978/01
- メディア: 新書
日本の少なくとも近世では、刑に携わるものは賎視され、あるいは賎視される身分の者、つまり非人が刑に携わった。これは、日本の「穢れ」思想によるもの、特異なものという思い込みがあった。
しかしどうやら、どこに住んでいても人間としての根っこのところは似たようなものらしい。ヨーロッパにおいては、不当な行為に対する集団や個人の復讐からはじまり、やがて名誉ある行為としての刑の執行がおこり、ついに刑の従事者は差別される人間となったという。
一致するのは刑吏の身分が賎民とされたことだけではない。面白いことに、動物の死骸の処理や、皮革に関する権利は彼らのものされた。死というものが結びつくのだろうか。
刑の内容のほか、中世ヨーロッパにおける刑吏をとりまく事情が具体的に描かれ、当時の社会観や彼らの生活を想像できるだろう。
タグ:世界史
新ウイルス物語―日本人の起源を探る(日沼頼夫) [本の紹介★★★★]
新ウイルス物語―日本人の起源を探る (中公新書 (789))
- 作者: 日沼 頼夫
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1986/01
- メディア: 新書
ついさっき、文化勲章のニュースを見て「あれ?」と思った。受賞者の一人、日沼頼夫氏は、案の定私の読んだ本の著者だった。成人T細胞白血病が、ウイルスによる病気であることを指摘した人である。
今回紹介する本の副題は、気にしなくて良い。感染性があると思われるから、日本人の起源に必ずしも行きつかない。
それよりも、ウイルス発見に至る過程を、論文には決して記されない面も含め、詳細に味わえる。著者が気づいた異様さを追体験し、同じような立場からあれこれ推測する。
かつての指導教官が「学者が自分の研究を書いた本は、疑問に対する考え方、論理の展開が面白い」と言っていた。今思い返すと、そのことを最初に理解させてくれた一冊だったと思う。
残念ながら、研究の過程が少々専門的過ぎる。専門外の人にも理解できるよう配慮はされているが、少しは分子生物学の素養が無くては、この展開を楽しむ余裕が無いかもしれない。
逆に、生物の知識を持っている人なら、星5つ。絶対読め!と断言できる。
タグ:自然科学